自分でも分からない
恋人と長く付き合ったり、誰かを本気で好きになると時々自分でも理解できない自身の姿を発見する事があります。
例えば恋人との些細な喧嘩にも関わらず、必要以上に怒ってしまい、
「元々はすぐに怒る性格じゃなかったのに…」
「私ってこんなに感情的な人だったっけ?」などと思うことはありませんか?
自分でも知らない内に感情的になって相手を傷つけるような言葉を言ったり、連絡を無視するなんて事もあるでしょう。
カッとなった勢いで「もう別れよう!」と言ってしまう事も…
少し前に「感情をコントロールする能力」には4つのタイプがあるという研究を紹介したのを覚えているでしょうか?
タイプごとに現れる行動と、その原因について説明しましたが、今日はその原因をもう少し深く掘り下げていきたいと思います!
過去の記憶
自分でも理解できないような感情的な行動を取ってしまう原因は自身の性格や恋人にあると思い込んでいませんか?
しかし実は違うんです。
本当の原因は…「過去」にあるのです!
それも子供の頃の記憶の中に、その根本的な原因があると言われています。
心理学者エリク・H・エリクソンによると「人には幼少期に満たされるべき基本的な欲求がある」と言います。
(Erikson, 1959)
それは、親から「信頼」や「評価」を得て「安定した愛情」を受けたいといった欲求です。
親が子どもの欲求にしっかり応えてあげると、子どもは精神的にも成長した大人になることができます。
しかし残念ながら、すべての親がその役割を果たしてくれる訳じゃありません。
大人になれない
中には子どもの欲求に応えるどころか、むしろ傷つけてしまう親もいます。
泣いてる子どもを放っておいたり、悪い事をしたからって話を聞かずに一方的に叱ったり、
子供との約束を簡単に破り、時には自分のストレスを子供にぶつけたり…
酷い場合、暴力を振ってしまう事もあるといいます。
そんな経験をした子供は、本来満たされるべき欲求が大人になっても満たされないまま残っているため不信感、愛情欠乏、分離不安症のような症状に悩まされる事になるのです。
そんな欠乏症は恋愛に大きな影響を与えます。
ここである男性の話を例に、幼い頃に負った傷が現在の恋愛にどのような影響を与えるのか見ていきましょう。
「僕が8才くらいの時だったかな?
お父さんにお遣いを頼まれて近くのスーパーに行ったんですが、家に帰るのが遅くなっちゃったんです。
その時、お父さんに『どこで遊んでたんだ!』と、酷く叱られた記憶があります…。
でも実は遊んでた訳じゃなく、お父さんの好きなお菓子を一生懸命探していたんです。
なのに理由も聞かず、一方的に怒られて傷つきました。」
このような経験を繰り返した子どもは大人になった時、恋人が自分を「誤解」するような状況になると、いつもより敏感な反応を見せると言います。
「何も知らないくせに。もういいよ、別れよう」と。
小さい頃に受けた傷が心の奥深くに残っているため、似たようなトラブルや状況になった時、感情的な反応を見せるのです。
心の中の子
こうして、心の傷を持ったまま大人になった人を心理学者達は次のように表現しています。
「あなたの心の中には傷ついた子供(wounded child)がいる」と。
見た目は立派な大人になっていても、心は傷ついた子どものままで、ずっと助けを求めているのです。
「僕の傷ついた心どうにかしてよ!」
「僕の事信じて欲しいんだ!」
「ずっと私のそばにいて!」
「もっと私に愛情を注いで!」と…
そして、この助けを求める声は親ではなく恋人に向けられているのです。
つまり、心の中は「子ども」のままなので、恋人と喧嘩した時に大人らしく落ち着いた会話ができず、辛い状況になるとぐずったり、意地を張ったり、逃げてしまったり…まるで子どものような感情表現をしてしまうのです。
そのため、時々理解のできない行動を見せるのです。
それならどうすれば?
このように長い間残り続けている心の傷を治癒する方法はたった一つです。
それは…心の中にいる傷ついた子どもを優しく慰めてあげること!
難しくはありません。
まずは自分の子どもの頃の記憶を1つずつ振り返り、共有することから始めましょう。
そうする内に、傷ついた記憶が1つずつ蘇ってくるはずです。
その全てを正直に話しましょう。
傷ついた子どもの頃の話が出来たら、今度は子供の頃の自分を恋人と一緒に慰めてあげるのです。
どうやって慰めるのかって?
「声に出して」慰めてあげるのです。
まるで子どもの頃の自分がその場にいるかのように、
「辛かったね。どんなに強い子でも、それじゃあ泣いちゃうよね」と。
これはよくある心理治療の一つでもあるといわれています。
このような過程を通して昔の傷を共有し治癒していると、理解できなかった自分の行動も少しずつ理解できるようになるはずです。
そして、しっかり慰めてもらった心の中の子どもは、これを機にまた成長し始めるでしょう。
そうすると、皆さんの恋人との関係も少しずつ変わっていくと思います。
心の中の傷ついた子どもを…そのままにしておかないでください。
昔の事だと放って置いたら、その子どもは一生独りで寂しく泣いたり、時々感情が剥き出しになってしまうだけですから。
けろっぴーの勧誘 の一言
恋人との未来を約束したければ、
過去から遡るべきです。