まだ1編を読んでいないという方は、
ぜひこちらからチェックして下さい!(*´ω`*)
(参照:エルサは回避型?!アナと雪の女王でみる回避型の心理【前編】)
また、まだ「アナと雪の女王」を観たことがないという方は、ネタバレが多数含まれているのでご注意下さい!
氷の城
エルサが氷の城を作ったあと、ニッコリと笑いながらドアを閉めてしまうのは、回避型の典型的な行動だと言えます。
この「Let It Go」を歌い終えてドアをバタンと閉めるシーンは一見格好良く見えますが...
実はこれは、強い防衛本能の表れだったのです。
自分の中にしまい込んでいた「誰かを愛し、愛されたいという欲求」を抑えつけていては何も解決しないのですが、
エルサはこの欲求を受け入れずに拒否し続け、ついに氷の城に閉じこもってしまったのです。
分析心理学でも、自分の欲望から目を背け、抑え込もうとすればするほどその力は強くなると言います。
ですが、
エルサがいくら逃げようとしてもアナは諦めませんでした。
そして、自分に責任を感じてしまったアナは、エルサを探しに行きます。
辛い現実を受け入れる
雪だるまのオラフや、クリストフのおかげでアナはようやく氷の城に到着します。
そしてエルサは、
自分の魔法のせいでアレンデール王国に終わりのない冬が来てしまったということを知ります。
それを知ったエルサは大きく傷つき、
アナに早くここから出るように言います。
すると、何かが壊れたかのようにまた自己防衛をし始めるのです。
この時、自分の感情をコントロールできなくなってしまったエルサは、魔法でまたアナの心臓を凍らせてしまいます。
そしてエルサは、巨大な氷の怪物を作って、アナたちを追い出してしまうのです。
この氷の怪物は、
自分自身の心を力ずくでどうにか抑え込もうとする姿を表しています。
もし皆さんが回避型だったら、
この「氷の怪物」がどんな気持ちを表しているのかよくお分かりだと思います。
回避型は愛されたいという気持ちが表に出ないよう、その気持ちを押し殺し、心のドアを閉ざそうとします。
でも実は…
ドアを閉めながらも、心の中では泣き叫び、苦しんでいるのです。
オラフが教えてくれること
「アナと雪の女王」に出てくる人間以外のキャラクター、
つまり、オラフ(雪だるま)やトロール(石の妖精)は似たような役割をしています。
それは…導き人の役割です。
また、制作陣が伝えようとするメッセージの代弁者でもあります。
なので、このキャラクターたちの言葉を注意深く聞いてみると、アレンデール王国を元の姿に戻すためには何をすべきなのかを知ることができます。
まずオラフは、雪だるまなのに
「夏に憧れていて、あったかいハグ好き」という矛盾した設定を持っています。
また、エルサとアナがまだ仲が良かった頃に一緒に作った思い出の雪だるまでもあります。
このセリフは、オラフが
「あたたかさ」と「冷たさ」の両方を持ち合わせた存在だということを、表しています。
つまり夏と冬、アナとエルサ、
この両極端にあるもの同士をつなぎ合わせてくれる存在こそが、オラフなのです。
安定した王国(心)を取り戻すためには、
両極端にある2つをバランスよく保つ必要があります。
なので、夏を取り戻したいからと言って冬を完全に無くしてしまってもダメなのです。
つまり、エルサが強くなりすぎるのは良くないけれど、私たちの心には必ずエルサのような存在が必要だということです。
なぜなら、他人との間に壁が全くなかったり、境界線を引けない人もまた、心に何らかの問題を抱えている可能性が高いからです。
真実の愛
では次に、石の妖精トロールたちのセリフを見ていきましょう。
アナたちは、この言葉を聞いて「王子とキスをしなきゃ!」と急いで城に戻ります。
もし「アナと雪の女王」がただの童話をリメイクした映画だったら…
このままアナと王子がキスをして、アレンデール王国は元通りの姿に戻りました。と物語が終わってしまうはずです。
ですが、お城に戻ると王子は悪者であったことが分かります。
では、ここで制作陣が伝えようとした真実の愛とは何だったのでしょう?
映画の後半でオラフが言ったある一言に注目してみましょう。
(Some people are worth melting for.)
これこそまさに「アナと雪の女王」が伝えようとしていた最も重要なメッセージなのです。
傷つくことを恐れずに自らを差し出す事
これこそが真実の愛であり、回避型の凍りついた心を溶かす唯一の方法なのです。
エルサは今まで自分が傷つかないようにひたすら逃げ続けていましたが、
実は私たちの心は、
傷ついたり、犠牲になる覚悟ができて初めて真実の愛を知ることができるのです。
幸せな国
ここまでの内容を見て、
「アナと雪の女王」は回避型の心の中でぶつかり合う2つの感情についてのお話だということをお分かりいただけたかと思います。
愛を与え、求め続けていたアナが、
それを拒否し続けていたエルサに愛の偉大さを教えたのです。
そのおかげでアレンデール王国、
つまり、回避型の心は「恐れ」を克服し「愛情」を取り戻すことができたのです。
最後のシーンでは、
エルサが広場のど真ん中にスケートリンクを作ります。
エルサは今まで、自分を隔離するためだけに魔法を使っていましたが、その魔法で人々を笑顔にすることができたのです。
こうして、
「アナと雪の女王」はハッピーエンドで幕を閉じます。
映画では無事に、エルサが妹アナの力を借りて自分の回避型の性格を治すことに成功しますが、
現実には、アナのように心が凍りついたまま10年、20年を過ごしたり、一生上手く人間関係を築けずに過ごしていく人もいます。
もしこんな状況に思い当たりがあるという方は、ぜひもう一度「アナと雪の女王」を見直してみて下さい。
おそらく今までとは全く違った視点で映画を楽しむ事ができると思います!