ストレスの溜まる恋愛?

恋愛は幸せになるためにするものなのに、すべての恋愛が幸せであるとは限りません。中には付き合っているだけでストレスが溜まるような辛い恋愛もあるんです。

些細なことから喧嘩になり、話し合ってもお互いに不満だけが残ったり…心から謝っても冷たい反応しか返ってこなかったり…そんな恋愛…

あなたが今、こんな恋愛をしているのなら、今日の恋愛の科学の記事を参考にしてみてください。

 

ストレス…

ノースウェスタン大学心理学科のエリー・ピンケル教授は、37名を対象に他人の抱えている悩みの相談に乗ってあげるという実験を行いました。

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本格的な実験に入る前に、ピンケル教授は予告なしに被験者たちにハンドグリップ(上の写真の握力を鍛える器具)をできるだけ長く握るように指示し、握っていた時間を計りました。(この記録は実験でとても重要な数値です。理由は後程紹介します)

ハンドグリップをどれだけ長く握っていれたかの測定が終わってから、本格的な実験が始まりました。

最初にピンケル教授は、相談者として現在この大学に通っている学生を紹介しました。

実際はピンケル教授の実験の助手だったのですが、学生のふりをした助手はとても真剣な表情で、自分の悩みを打ち明けました。
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「最近、悩みがあって…大学生活に上手く馴染めずにいるんです。大学生活に期待してたんですけど、期待とは違ってて。

授業も面白くないし、何を専攻すればいいかもわかりません。悩みが多くて、友達付き合いもうまくいかなくて。頭の中がぐちゃぐちゃでどうしたらいいかわからないんです。」

このうその悩みについて被験者はそれぞれ真剣にアドバイスをしてあげました。

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アドバイスを聞いた助手は2種類の反応を見せました。

Aグループのアドバイスにはこのように反応しました:

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「それはそうだと思いますが、きっと何にも変わらないですよ…

「そうやってみたことありますが、ダメだったんだけど…」
「どうせ上手くいかないと思います。」

被験者のアドバイスを聞き入れようともせず、ネガティブな態度を取ったのです。

一方Bグループではこのような反応をしました:

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「一度やってみます。」

「いい考えだと思います。」
「アドバイスありがとうございます。」

アドバイスを受け入れ、努力してみるという態度を見せました。

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このように実験を終えたあと、ピンケル教授はもう一度握力測定をして、平均時間を出さないといけないと言い、ハンドグリップを何秒間握っていられるかもう一度チェックしました。

さて、ピンケル教授は一体何を調べていたのでしょうか?

 

力が入らない…

実は握力測定はこの実験のキーポイントだったのです。

ストレスの溜まる会話をした人にどんな変化が表れるのか調べるためだったのです。

結果を見てみましょう。

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ネガティブな発言ばかりを聞き、ストレスの溜まる会話をしたAグループは、ポジティブな発言を含むストレスがそれほど溜まらない会話をしたBグループに比べ、ハンドグリップを握っていられた時間が2倍近く短くなったのです。
それくらい会話の後、疲れてしまい力が入らなかったのです。

さらに衝撃的なのは、ストレスの溜まる会話をしたAグループは身体的能力だけでなく
クロスワード(認知能力)
4択問題(思考力)
パズルゲーム(推理力)等
ほぼすべての面でBグループの半分程度に能力が低下してしまったのです。

ピンケル教授、どうしてこんな結果になったのですか?
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「人間の重要な能力のうち自己統制力(self-regulation)というのがあります。」

「状況に合わせて、自分の行動を統制し、意思決定をする能力のことです。難しい問題を解くためには、この能力が必要不可欠です。集中力と思考力が必要だからです。」

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「しかしながら、この自己統制力は使った分だけ減少します。そして一度使ってしまうと回復するまでに時間がかかるのです。」

ストレスの溜まる会話をしたAグループは会話の中で自己統制力をすべて使ってしまい、ハンドグリップを握り続けるだけの精神力が残っていなかったのです。そのため身体的能力はもちろんのこと、思考力まで減少してしまったのです。」

恐ろしい結果ですね。

 

辛い恋愛の悪循環

自己統制力は人間のすべての活動において必要不可欠です。
これが不足すると、集中できず、何もしたくなくなり、ただ休みたくなります。

辛い恋愛は自己統制力を浪費させる最も大きな要因になります。
恋愛で自己統制力をすべて使ってしまうと、仕事や勉強など、自己統制力が必ず必要になる場面で、力を発揮できなくなるのです。

恋愛だけでなく、自分の生活すべてがめちゃくちゃになってしまうのです。

さらに恐ろしいのは、これが悪循環するという点です。

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辛い恋愛をすると自己統制力が減少し、そのため別のことに集中できず、よりストレスが溜まります。そんな状態で相手と会話をすると、すでに自己統制力が減少している状態なので、会話がケンカの原因になり、恋愛がより上手くいかなくなるということを繰り返すのです。

もし、この話が自分のことのように思えたのなら、悪循環を断ち切るためにはどうしなければいけないのか、努力できる部分はないのかなど、現在の状況に真摯に向き合ってみてください。

あなたが今幸せな恋愛をしているのならば、このような悪循環に陥らないように気を付けてくださいね。

 

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