初デートの誘い
「今、気になっている人がいます。違う大学の人なのですが、サークル活動を通して知り合い、明るい笑顔と何事にも一生懸命取り組む姿勢に惹かれました。」
「でも、サークル以外での接点がなく、サークル仲間としてしか見られていない気がします。ちょっと意識してもらうためにも、一度二人きりで会って話をしたいのですが、今までは機会がありませんでした。」
「今度勇気を出して、二人で美味しいもの食べに行こうとLINEしようと思っているのですが、どんな感じで誘えばいいかわからなくて…何かアドバイスもらえませんか??」
- 〇 〇様(22歳、男子大学生)
気になる人を初デートに誘うメッセージは考えただけでも頭が痛くなるほど、難しく悩ましいものですよね。
書いてはみたものの何かよそよそしい感じもするし、なんで自分はこんな風にしか書けないのかと情けなくなったり…
今日の恋愛の科学では、気になっている人を初デートに誘うメッセージがどうして難しいのか、多くの人が共通してしてしまう失敗は何か、成功させるにはどうすればいいのか、科学的に考えてみたいと思います。
関係の不確実性とメッセージ
イリノイ大学コミュニケーション学科のリアン・ノブロク教授は、曖昧な関係の相手をデートに誘う時に送る、メッセージの特徴について研究しました。
実験は簡単です。
まず、ノブロク教授は248名の実験参加者を募集し、気になっている異性と今どんな関係なのか尋ねました。
相手とはまだ曖昧な関係の人もいれば、
(例:サークル仲間、部署の違う会社の同僚など)
ある程度進展している人もいました。
(例:デートを何回かして関係が進展しつつある状況)
それから、メッセージを書くように言いました。
「今から、その相手を初デートに誘うと想定して、メッセージを作成してください。」
「メッセージの内容や長さは特に決まっていませんので、自由に書いてください。」
ノブロク教授は参加者が書いたメッセージを集め、曖昧な関係にある人が書いたメッセージにはどんな特徴があるのか調べました。
4つの問題点
ノブロク教授は、曖昧な関係にある人が作成したメッセージに共通する4つの問題点を見つけました。
問題1.不自然さ
曖昧な関係にある人のメッセージは基本的にとても不自然でした。
意味のない単語を多用したり、同じことを繰り返したりしていました。
問題2.硬い
加えて、全般的に硬い表現を使っていました。
相手の好感を得るには、親近感を持ってもらわないといけないのに、とても緊張してか、むしろ硬くて格式ばった表現が多く見られました。
問題3.不明確
彼らは相手と関係のある話よりも、天気、仕事、勉強のような相手と関係のない話をたくさんしていました。そして、デートの誘いなのか、ただ会おうということなのか、時間を持て余して送ってきたのか、メッセージの意図が不明確でした。このようなメッセージを受け取れば、誰でももどかしく感じますよね。
問題4.なんかイマイチ
ノブロク教授は別途に募集したメッセージ評価団に、参加者が作成した気になる相手をデートに誘うメッセージが、気に入るかどうか点数をつけてもらいました。
結論から言うと曖昧な関係にある人が書いたメッセージは、何かイマイチという評価を受けたのです。
このようなメッセージではデートに誘っても、成功率が低いという評価が主でした。
初デートに誘うメッセージはどうしてこんなに相対的に難しいのでしょうか?
「コミュニケーションの基本は相手の状況と感情を把握することです。相手についての情報が多ければ多いほど効果的な会話ができるのです。」
「しかし、初デートに誘うという状況は相手に関する情報がほぼない状態でしょう。相手が自分をどう思っているのか、最近忙しいのか忙しくないのか、このメッセージをどう受け取るか等、全くわからないからです。」
「このような状況では、相手の反応を予想するのが難しく、緊張もし、相手に断られるかもしれないと考えると怖くなり、普段は人と話すのが上手な人でも、自分の意思がちゃんと伝わるメッセージを送るのは難しいのです。」
ではどうすれば?
解決方法
彼を知り己を知れば、百戦殆うからずということわざにもあるように、何が問題なのかを知れば、答えは自ずと見えてきます。
実際の例を一度見てみましょう。
上のメッセージを見てみてください。
まず「何か」という言葉が二回入っていることで、すでにぎこちないですよね。緊張しているのが伝わってきます。
加えて、メッセージの意図を明確にしておらず、遠回しに質問したため、もどかしく感じてしまいます。
では、このメッセージを一度直してみましょう。
こっちの方が良くないですか?
文章も自然で、「一緒に」、「行かない?」といった言葉も親しみを感じるし、メッセージの意図も明確で伝えたいことがはっきりとわかります。
初デートに誘うメッセージは誰もが失敗してしまいがちですが、この研究で見た4つのポイントに気を付ければ、より良いメッセージを送ることができるのです。
実際、根本的な解決策は自信を持つことです。
上記のような問題が起こる原因はすべて情報不足による過度の緊張と自信のなさです。
さらに、別の研究によれば、自信がない場合、簡単なメッセージを作成するのでさえも難しく感じ、自らもメッセージが上手に作れなかったと評価する可能性も高くなります。そうなるとさらに自信がなくなるという悪循環を引き起こします。(Douglas, 1991)
初デートの誘いを断られるのではと心配しすぎるよりも、失うものは何もない、ダメでもともとくらいの気持ちで、自信を持って気軽に送ってみてください。
あなたの素直な気持ちは、相手に伝わると思いますよ。