#小説で読む恋愛
アラン・ド・ボトンの恋愛小説「恋愛をめぐる24の省察」には特別ロマンチックな設定はありません。
平凡な「主人公」が平凡な女性「クロエ」に出会い、平凡な恋愛をして別れるというシンプルな話です。
まるであなたと好きな人、または好きだった人との恋愛と同じように。
男と女が出会い、恋に落ちて別れるまでの過程…
今日は、5ページ目を見ていきましょう。
現実の世界へ
恋愛をしていく中で、二人の関係が「一番いい時」っていつだと思いますか?
それは、付き合い始めの1年です。
しかし…
「二人の意見が食い違い始める時」でもあると言います。
見えていなかった恋人の本当の姿が見え始めるからです。
徐々に相手の短所に気づき始め、お互いの考え方が食い違い始め…
そのせいで、相手に対する気持ちが冷めてしまったりもします。
もし、最近恋人とよくケンカするようになったという方や、
恋人に対する気持ちが冷めてきたような気がするという方は、この記事を必ず最後まで読んでください。
あなたと似たような状況に陥った「僕」の話を聞いて、一緒に振り返ってみましょう。
え、なんで!?
クロエと「僕」は、クリスマスを離ればなれで過ごしたものの、新年になりロンドンに戻ってからは時間のある限り一緒に過ごしていました。
この時の状況を次のような言葉でまとめています。
「目に見えるような裂け目の痕はないけれど、僕らはかつて、一つの身体をつくっていた。」と。
それくらいお互い愛し合っていたある日…
「僕」は、クロエにある違和感を感じます。
クロエが履いている靴を見て、眉をしかめる「僕」。
「僕」はなぜ、このような表情をしているのでしょうか?
前に自分がプレゼントした靴を履いていなかったから?
それとも、履かないなら買わなきゃよかったと後悔して…?
いえ…「僕」がイライラしていた理由は、ただただクロエの靴が気に入らなかったからです。
でも、ただ靴が気に入らなかっただけではありません。
その靴を選んだ「クロエ」にガッカリしていたのです。
「靴ぐらいでそんな大げさな…」と思いますが「僕」にとってはかなり衝撃的なことでした。
なぜなら、それまでのクロエは自分にとって何もかもが完璧な人だったからです。
「僕」は、彼女のダサい靴を見た瞬間、自分の知らない彼女の本当の姿を見た気分になったのです。
恋人への期待
実際、片想い中や付き合い初めの頃は、相手のいい部分だけが見えるものだと言います。
(Felmlee, Diane H, 1995)
そのため、相手に実現不可能な期待をしてしまいます。
見た目や価値観はもちろん、靴の色といった相手のちょっとした好みまでも「きっと自分と同じだろう」と思い込んでしまうのです。
しかし、相手への期待が大きければそれだけ、失望も大きくなります。
恋人への過度な期待は、二人の関係が崩れる要因になるという研究結果もありますから。
(McNulty, James K, 2016)
クロエの靴のセンスに失望した「僕」も同じで、
靴のセンス一つとっても「僕」とクロエはきっと同じだろうという期待をしていたため、
この期待が裏切られた時、二人の間に溝が生まれてしまったのです。
知れば知るほど分からない
「君の全部が好き。」
もし、付き合い始めた頃に相手からこう言われたなら、それはきっと本心でしょう。
付き合い始めは、あなたのふとした仕草や性格すべてが愛おしく感じるものですから。
しかし、時間が経つに連れて相手の全てを好きでいる事はかなり難しいと言います。
なぜなら、相手を知れば知るほど、どうしても好きになれない部分が見つかるからです。
どれだけ好きだとしても、付き合っていく中で相手の気に入らない部分は見え始めます。
これは、どうしようもない事です。
しかし、本当の恋愛はここからが始まりです!
相手の良いところだけではなく、相手の気に入らない部分までも含めて好きになる事が本当にその人を愛しているという事だからです。
自分と考えが違う人を受け入れるのは簡単なことではありません。
だから、恋愛は難しいのです。
誰でも少なくとも一つは相手の好きになれない部分があるはずです。
「僕」がクロエの靴を気に入らなかったように…
そんな気に入らない部分までも好きになれたら、それはあなたが相手を本当に愛しているという証拠でしょう。
次のお話では、いったいどんな問題が二人を待ち受けているのか…次回も乞うご期待!
p.s.
もし、あなたが恋人とよく喧嘩をするのなら、他に問題点があるかもしれません。
それなら一度<恋愛スタイル診断>をしてみてください。
この診断では、あなたと恋人のそれぞれの愛着タイプを診断し、特性についての説明を詳しくしています。
自分と相手の愛着タイプを知るだけで、2人の間の揉め事や喧嘩などの根本的な原因と解決策をより正確に理解することが出来るのです。
この愛着タイプの違いで喧嘩になっていることって多いと言います。
相手に対して理解出来ないことがあるのなら、あなただけでなく恋人も一緒にこの診断をしてみてください!
大人の非常階段の一言
盲目状態が冷めてしまうのは、相手への気持ちが冷めてしまうのではなく熱すぎるからです。