恋の病?

よく恋に落ちると世界が違って見えると言いますよね。すでに取り上げたようにこれは科学的にもはっきりとわかっている現象です。しかし、この現象は正確にはどんなことを言うのでしょうか?

今日は、誰もがなりうるこの恋の病(?)について科学的に見ていきたいと思います。

 

無意識の世界

2009年、心理学学会誌Journal of Experimental Social Psychologyにアムテルダム大学・心理学科のイェンスポスター教授の論文が掲載されました。

ポスター教授は、恋愛感情が人の認知構造にどのような影響を及ぼすのかに注目しました。これを調べるためポスター教授は、実験を行いました。教授は、被験者を研究室に招いた後、まずパソコンのスクリーン前に座らせました。
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そして、画面左側に何かが点滅したら黄色のボタンを、右側に点滅したら緑色のボタンを押させました。
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被験者に、この試験は認知速度を測定する試験だと嘘をつきましたが、実際にはこの過程が無意識のうちに恋愛感情を呼び起こすものだったのです。どうしてそんなことができるかって?

実はモニターに一つの単語が0.07秒間点滅していたのです。

被験者の半分には「LOVE」という単語を、残りの被験者には「XQFBZ」というでたらめな単語を見せたのです。
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ポスター教授は、この方法で被験者の無意識に「恋愛感情」を呼び起こした後、今付き合っている恋人について様々な質問をしました。

「あなたの恋人は頭が良いですか?」
「あなたの恋人はきれいですか/かっこいいですか?」
「あなたの恋人は運転が上手ですか?」
「あなたの恋人は優しいですか?」
..などなど

果たして、恋愛感情がどんな影響を及ぼしたでしょうか?

 

過大評価

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恋愛感情を高められた人は、そうでない人に比べ 恋人のことを26%も肯定的に評価したのです。これは被験者が恋人を過大評価していたということです。

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さらに平均値が同じ被験者でも、恋愛感情が高まった被験者はその人の実際の姿や細かい特徴を区別することもできず、「全部好き」「なんでも上手にできる」と評価したのです。

人には長所があれば短所もあるはずです。しかし恋愛感情が高まった人は、それを区別できなくなるのです。
次にポスター教授は被験者に椅子の広告を見せた後、この椅子についてどう思うかについても聞きました。

すると、

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恋愛感情が高まったひとは、恋人とは全く関係のない椅子についても全てすてきだ、気に入ったなどと評価したのです。恋愛感情がものや世界を見る視覚自体に影響を及ぼしたのです。ぱっと見ただけでも、すべてよく見えてしまうとも言えますね。

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評価する対象の細かい部分を気にせず、全てのものがよく見えてしまう現象を「ハロー効果(halo effect)」と言います。

 

美しい世界

恋人たちをみていると、いつもいきいきしているように見えます。もちろん好きな人と恋愛をしているから気分がいいのは当然ですが、それだけではありません。付き合っている人には、すべてのものがよく見えるのです。今日の天気、友人、商店街のおじさんも、街路樹も、座っている椅子も。

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(恋に落ちている様子=映画 <500日のサマー>)

単に、そのひとの認知能力自体が変化したのです。ここまで来ると、軽い精神病といっても過言ではないでしょう。

それでも、だれもが一度はかかってみたい病ではないでしょうか?しかし果たして、この病にかかることで恋人にもプラスの影響が及ぶのでしょうか?

これについては後日、恋愛の科学で扱うことにしましょう。楽しみにしていてください!

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